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教授会も、おそらく親友のキム・ドフン教授にも、ハン・ギテ教授の決心を変えることはできなかった。
カンファレンス直後、改めて、意見聴取の場が設けられ、しばらく休職してはどうか、という提案もあったそうよ。
でも、ハン教授様は、すでに決心したことだと、静かに答えられたと聞いたわ。
そのあと、もう一度、キム教授様がハン教授様と話す機会をもったみたい。
オ・ヨンボム先生が、屋上に向かうふたりを見かけた。
ふたりとも穏やかそうに話していたって。
しかも、ハン教授様は時折、笑顔をみせたって。
考え方もやり方もまったく異なるけれど、長い年月をかけて認めた同僚で、ライバルで、同期で親友。
何を話されたのかしら。
ペク・ヒョヌ先生がハン・ギテ教授様にご挨拶したのは、きっとそのあとのことだわ。帰り仕度をして吹き抜けを通るところだったそうよ。
あの発言以来、はじめて顔を合わせて…。
どんな顔をすればいいのかわからなかったと言っていた。
恩師に、ただ頭を下げるだけで見送るしかないのか、いたたまれなかったって。
あれだけ濃密な学究の時をもったのに、ひとことのお礼も伝えることができない。
事情が事情だけに、彼から声をかけることなどできないから。
視線があっても、まるで知らないひとのようにすれ違うだけなのか。
でもね、そんな方ではなかったんですって。
キム・ドフン教授様のように、わかりやすい親近感ではないけれど、医師としての温かい感情、研究者としての探究心は師と仰いだときから変わっていなかったと、とるに足りない不肖の弟子であっても無視せず声をかけてくれる方だったと、ちょっとうれしそうに話してくれた。
もちろん、後悔の念は消せないけれど。
私が決めたことだ。
それを負担に思うな。
今回の決定は、君とは何の関係もない。
君を気にいったのは、私と似ているところがあったからだ。
それは、私のようになる危険が高いということだ。
だから、うまくやれ。
…
近いうちに、連絡するから、酒でも一杯、やろう。
そう言って、笑顔を残して、行かれたそうよ。
そういえば、ハン教授様の笑顔を見ることができる人なんて、限られたひとなのではないかしら?
心を許したひとにしか見せないのかもしれない。
私は、怒られてばかりいたからなあ…。
ペク・ヒョヌ先生がハン・ギテ教授様と似ている?
ああ、なるほど。
初めて会った頃のペク・ヒョヌ先生にはそういうところがあったかな。
いつもいちばん。彼も周りもそう思っていた。
誰も手伝わなくてもひとりで何でもできると。
だからいつもひとり。
ふふ。これは私も同類ね。
本当は、みんなと混ざりたいのに。
混ざりたい…?
お互いに信頼し、信頼される関係を築きたいのよ。
困ったことがあれば気楽に声をかけてほしいし、声をかけたい。
なのに、それができない。
信頼されていないのかと落ち込んでしまうことだってあるわ。
信頼を得られない実力なんて、空しい。
でも、大丈夫。
ハン・ギテ教授様に、キム・ドフン教授様がいらしたように、ペク・ヒョヌ先生にもチェ・ジンサン先生がいるもの。
この出来事も、10年後には、いい思い出になっているのだわ、きっと。
そのころ、私は?
医師?弁護士?
ああ、こんな時間。
今日は、これから、三人でちょっとお酒を飲んで帰るわ。
三人とも、今回のことで、思うことがあるから。
それを全部、吐き出して、また、明日へ進もう。
…。
進めると思う。
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歳月を重ねた、男たちの友情。
総合病院版「友へ」。
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